営業トークの「つかみ」とは?商談を有利に進める8つの具体例と注意点
公開:2025/05/26 更新:2025/05/26
営業トークに自信が持てず、お悩みの方もいるでしょう。
営業トークにおいて「つかみ」は、相手の心を開き、商談をスムーズに進めるための重要なファーストステップです。特に、初対面の相手とのやりとりでは、最初の数秒で印象が決まり、そのあとの会話の流れを左右する場合もあります。
本記事では、営業トークで効果的に使える「つかみ」の具体例を取り上げ、それぞれの活用方法や注意点について詳しく解説します。顧客との距離感に悩んでいる方や、コミュニケーションに自信が持てない営業職の方は、ぜひ最後までご覧ください。
営業トークに重要な「つかみ」とは?
営業トークにおける「つかみ」とは、商談の冒頭で相手の興味を引きつける会話や雑談のことです。「つかみ」が成功すれば、相手との距離が一気に縮まり、そのあとの商談がスムーズに進みます。
特に、初対面の相手に対しては、最初の数秒が信頼関係を築くチャンスです。商品の売り込みを「押し売り」と誤解されないよう、顧客が商品に興味を引くよう話し始める必要があります。さらに、営業トークの「つかみ」のレパートリーを広げれば、アイスブレイク・ヒアリング・提案・クロージングなどの各段階でも有効です。
天気などの無難な話を「つかみ」とするケースも多いですが、商品や提供サービスと全く関係のない話題では商談の流れがぎこちなくなります。「つかみ」のスキルを高めれば、営業をより円滑に進められるでしょう。
成果につながる営業トーク「つかみ」の8つの具体例
営業トークは、顧客の反応を見ながら臨機応変にアプローチすることが重要です。さまざまなシーンで使える「つかみ」の具体例を8つ紹介します。
- 必要時間を相手に伝える
- 落ち着いて顧客と話す
- 共感を呼ぶ一言を添える
- 重要な情報やポイントを繰り返す
- 顧客に合う雑談や時事ネタを見つける
- データや事実を用いたアプローチをする
- 相手にオープンクエスチョンを投げかける
- 営業トークの「さしすせそ」を意識する
これらの「つかみ」を詳しく紹介します。
①必要時間を相手に伝える
ビジネスの場では、商談にかかる時間をあらかじめ伝えるのは、基本的なマナーとされています。
アポイントメントを取るときだけでなく、突然の訪問営業でも必要時間を相手に伝えるようにしましょう。「この話は5分で終わります」「10分だけお時間をください」と伝えることで、相手は「短時間なら」と前向きに話を聞いてくれる可能性が高まります。また、「長引くかもしれない」といった不安も軽減され、心理的なハードルを下げる効果もあります。
必要時間を相手に伝えるだけで、顧客の対応が大きく変わるケースも少なくありません。営業トークの「つかみ」として活用できれば、より多くの商談のチャンスが生まれるでしょう。
②落ち着いて顧客と話す
営業トークでは「売りたい」気持ちが強く出すぎると、買い手側に警戒心を抱かせます。「つかみ」を話すときも、商談の流れを意識し落ち着いて会話を進めましょう。
「そのような事情があったんですね」や「確かに、そう思ってしまいますよね」など、共感や同意の相槌を入れることで、顧客のペースに合わせた商談を進められます。
優れた営業担当者ほど、顧客の発言を大切にする傾向があります。それは、しっかり話を聞くことで、顧客は「この人は自分の話をきちんと聞いてくれる」と信頼感が高まるためです。また、会話からニーズや課題を的確に把握すれば、より質の高い提案が可能です。
③共感を呼ぶ一言を添える
商談を進めるうえで、相手との信頼関係の構築は重要です。信頼できない相手から商品を購入する可能性は非常に低いでしょう。
そのため、営業トークの「つかみ」でも、信頼関係が高まる「共感を呼ぶ一言」を添えると効果的です。例えば、「私もそうなんです」「その気持ち、よく分かりますよ」といった言葉をかけることで、お互いに親近感や安心感が生まれ、会話がスムーズになります。
共感を示すには、以下を意識する方法が挙げられます。
- 受容的な態度
- うなずき
- あいづち
- オウム返し
顧客の不安や考えに共感しながら解決策を自然に提示する対応が、信頼される営業担当への第一歩です。営業トークの「つかみ」にも、共感を示す一言を取り入れてみましょう。
④重要な情報やポイントを繰り返す
営業トークでは、重要な情報やポイントを繰り返すことが非常に効果的です。要点の繰り返しにより、以下のようなメリットがあります。
- お互いの理解が深まる
- 認識のズレを防げる
- 提案の納得感や信頼感が高まる
しかし、同じ表現を何度も繰り返すと、不自然な話の流れとなってしまいます。「人手不足なんですね」や「おっしゃっていた通り、この方法では少し不安が残りますね」など、表現やタイミングを変えて何度か触れるようにしましょう。顧客が何に関心を示しているか見逃さないよう注意を払うのが大切です。
繰り返しは、単なる確認作業ではなく、コミュニケーションの質を高めるテクニックです。ぜひ営業トークの「つかみ」にも取り入れてください。
⑤顧客に合う雑談や時事ネタを見つける
営業トークの「つかみ」として、顧客に合った雑談や時事ネタを取り入れるのも効果的です。ちょっとした会話が緊張を和らげ、自然な形で関係を築くきっかけとなるでしょう。
例えば「お庭がきれいですね」や「地域のお祭りが近いと伺いました」など、相手の興味に寄り添った言葉をかけると、会話がスムーズに広がります。ただし、話題が商品と関係がない場合は、商談への移行が不自然になることもあるため注意が必要です。
普段から、顧客の関心事や訪問先の企業について把握しておくと安心です。雑談は信頼関係を築くチャンスのため、話題の糸口を探す癖をつけていきましょう。
⑥データや事実を用いたアプローチをする
データや事実を用いたアプローチは、信頼感と納得感を与える営業トークの一つです。実際に商品を使った経験を「つかみ」として紹介することで、説得力が高まり、相手に具体的なイメージを持ってもらいやすくなるでしょう。
人は一般的に、多数派の意見や行動に安心感を覚え、それを支持する傾向があります。したがって、「多くの方にご利用いただいています」「他社でも成果が出ています」など、活用データや事例を交えて商談を進めると効果的です。
優秀な営業担当は、製品のスペックや仕様に加え、どのような場面でどれほどの効果が生まれているのか実例を示します。商品やサービスの価値をより具体的に伝えることで、顧客の興味や購買意欲を自然に高めるメリットが期待できるでしょう。
⑦相手にオープンクエスチョンを投げかける
営業トークの「つかみ」として、オープンクエスチョンを投げかける手法があります。「最近の市場の動向はどう感じていますか?」など、はい・いいえで答えられない問いかけによって、相手の本音やニーズを引き出すことが可能です。
また、ビジネスシーンでは、相手の考えを探るさまざまな質問方法があります。
確認法 | 質問の前に述べることで唐突感をなくすフレーズ 「1点確認させていただきたいのですが……」 |
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鎌かけ法 | 知りたい内容を顧客に話させる誘導質問 「SNSでの集客に力を入れる企業も多いですが、御社でもそのあたりの方向性については……」 |
深掘り法 | 発言を掘り下げ本音や真意を探る質問 「新システムを導入されるとのことですが、どのような事情で検討されたのですか?」 |
オープンクエスチョンをはじめ、複数の質問を組み合わせることで、顧客との対話をより深められます。営業トークの「つかみ」としてうまく活用すれば、顧客のニーズをいち早く把握できるでしょう。
⑧営業トークの「さしすせそ」を意識する
相手との信頼関係を築くために効果的な言葉「さしすせそ」を、営業トークの「つかみ」に取り入れるのも効果的です。
「さしすせそ」は、相手を褒めたり共感したりするフレーズの頭文字を取ったものです。
- さ∶さすがです・最高ですね
- し∶知らなかったです
- す∶すごいですね・素敵です
- せ∶センスありますね
- そ∶そうなんですか!
これらの言葉は顧客の知識や感性を尊重し、相手に「自分の話は価値がある」と感じさせる働きがあります。結果として顧客の気分を上げ、良好な関係づくりにつながります。「さしすせそ」は、相手自身を褒める場面で活用するのが効果的です。
営業トークの 「つかみ」の失敗例と注意点とは?
営業トークの「つかみ」をうまく活用できれば、顧客との信頼関係を築ける可能性が高まります。しかし、その一方で何も考えずに使うと悪い印象を与えかねません。
ここでは売れない営業がしがちな失敗例と注意点を紹介します。ぜひご自身の営業トークを振り返る参考にしてください。
売れない営業がしてしまう失敗例
売れない営業担当に共通する失敗の多くは、自分本位の姿勢にあります。以下のような営業トークや「つかみ」を行っていないか、注意が必要です。
【営業トーク失敗例】
- 営業ツールやカタログをなぞるだけの説明
- 「弊社の商品は〜」と主語が自社側
- 自画自賛のような話し方
- 表情や話し方が単調
上記のような話は説得力に欠け、顧客の心に響きません。また、顧客理解が不十分なまま話し始めると、相手の気持ちを置き去りにし、商品を一方的に売り込むだけの押し付けがちな営業になってしまうので注意が必要です。
どのような素晴らしい商品でも、信頼関係が築けなければなかなか売れません。なぜ「つかみ」が大切なのかを考え、事前リサーチや準備を無駄にしないよう商談を進めましょう。
トークの「つかみ」を成功に導く注意点
営業トークの「つかみ」を成功させるには、入念な準備が欠かせません。まずは顧客リサーチを行い、相手の関心や現状を把握し商談の流れを組み立てることが重要です。
また、前述した失敗例を踏まえ、営業トークの内容を見直してみましょう。
【営業トークのポイント】
- 主語が「御社」や「〇〇部長の課題」と相手目線で話す
- 事例や客観的な評価を交えた具体的なアピールをする
- 顧客のニーズを把握し商品やポイントを絞る
- 表情や話し方にメリハリをつける
顧客の反応が悪かった場合に備え、話題のストックを複数用意しておくのも有効です。さらに、先輩や上司の話し方を参考にしたり、トークスクリプトを作成し繰り返し練習したりすることで、自信を持って本番に臨めるようになるでしょう。
まとめ
営業トークの「つかみ」は、単なる雑談ではなく、相手の信頼を得て話を引き出すための重要な戦略です。
共感を示す一言や質問の投げかけ、雑談の工夫など、少しの配慮と工夫で商談の成果は大きく変わります。準備を怠らず、相手目線でのコミュニケーションを心がけることが大切です。今回紹介した具体例や注意点を参考に、営業トークがより効果的なものになるよう日々の実践に活かしてください。
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【Q&A】
Q1: 営業トークにおける「つかみ」の目的は何ですか?
A1: 営業トークにおける「つかみ」とは、商談の冒頭で相手の興味を引きつける会話や雑談のことで、相手の心を開き、商談をスムーズに進めるための重要なファーストステップです。これにより、相手との距離が一気に縮まり、その後の商談が円滑に進むようになります。
Q2: 営業トークで顧客に良い印象を与える「つかみ」の具体例を2つ挙げてください。
A2: 営業トークで顧客に良い印象を与える「つかみ」の具体例は以下の通りです。
- 必要時間を相手に伝える: 商談にかかる時間をあらかじめ伝えることで、相手は安心して話を聞くことができます。
- 共感を呼ぶ一言を添える: 「私もそうなんです」「その気持ち、よく分かりますよ」といった共感を示す言葉は、親近感や安心感を生み、信頼関係の構築に繋がります。