「ノルマが負担」と答えた人は73%!でも実は…現役営業パーソンのホンネを実態調査

公開:2025/03/18 更新:2025/03/18
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顧客にヒアリングや提案をしながら、自社の商品・サービスの販売や契約に繋げる営業職。「営業」と一言に言っても、その手法は訪問や電話、オンラインなど様々です。また、飛び込み営業のような新規顧客向けのものもあれば、ルート営業のような既存顧客向けのものもあります。

営業に興味があると思いつつも、イメージが漠然としていると思う方もいるかもしれません。今回の記事では、300人の現役営業マンに年収やノルマの有無、やりがいやキャリアプランなどについて調査しました。「年収はどれくらい?」「ノルマって厳しいの?」「転職したいと思う?」などなど、営業パーソンのリアルな実態に迫ります。

<今回のアンケートの回答者属性>
・営業パーソン300人
・年齢:30〜34歳(23.7%)が最多で、次いで「25〜29歳(14.3%)」、「35〜39歳(18.7%)」が多く回答した。
・営業歴:「1〜3年(22.7%)」が最多で、次いで「4〜5年(22.0%)」と「6〜10年(22.0%)」並んだ。
 ・雇用形態:正社員(83.67%)が最多。「契約社員(5.67%)」、「アルバイト・パート(5.33%)」、「業務委託(4.67%)」と続いた。

営業ってどんな仕事?

そもそも営業職とはどういった仕事なのでしょうか? 簡単に説明すると、営業職とは会社の利益のために商品やサービスの購入を促し、売買契約を結ぶ職業です。商品の売り込みに重点が置かれる販売職と違い、営業職は顧客の課題解決に重点が置かれます。そのため、顧客のニーズを深く探り、最適な提案をすることが求められる仕事となります。

次に営業スタイルについてです。まず、営業職にはおおまかに分けて以下のようなスタイルがあります。

  • 飛び込み営業:新規顧客獲得のため、事前にアポイントを取らずに、企業や個人宅に訪問する営業スタイルです。
  • 電話営業:新規顧客、または既存顧客に電話をかけて、アポイントメントや商品・サービスの提案、商談の約束などを行う営業スタイルです。
  • ルート営業:既存顧客のフォローが基本となる営業スタイルです。すでに会社が取引をしている顧客のもとに定期的に訪問し、契約更新や新規契約獲得を目指します。
  • インサイドセールス:見込み客に対して電話やメールなど遠隔ツールを用いてアプローチを行う営業スタイルです。
  • 代理店営業:自社製品を販売してくれる代理店との新規契約や販売ノウハウの提供、顧客対応などを行う営業スタイルです。

今回の調査で最も多かったのはルート営業(61%)でした。次いで電話営業(36.67%)、飛び込み営業(22%)が並んでいます。

ノルマは仕事のやりがいにつながっている?

「営業」と聞いてまず思い浮かべるのが、“ノルマ“ではないでしょうか?
実際今回の調査でも「ノルマがある」と回答した人は74%と大多数を占めました。

一方で、ノルマの達成率は「8〜9割達成できている(37%)」と最多で、次に「5〜7割達成できている(32%)」が並びました。「毎月達成できている(18.67%)」人も一定数いるものの、「ほとんど達成できていない(12.33%)」人もいるなど、毎月のノルマを完璧に達成できている人はごく一部のようです。

また、ノルマを「とても負担に感じる」「やや負担に感じる」と回答した人は合わせて73.33%と大多数を占めました。多くの営業パーソンにとって、ノルマは達成するのが難しく、精神的なプレッシャーになっていることがわかります。

実際、今回の調査では以下のような声が多く集まりました。

「あまりにもノルマが厳しすぎると感じる。達成できている人はごく一部の人間だけだから、もう少し緩めに設定してほしいと思っています」
「ノルマがきつすぎて諦めの気持ちが強く、モチベーションが上がりません」
「ノルマのために無茶苦茶な営業をしないといけない
「ノルマが厳しいことで残業が増えてワークライフバランスが取れないことが不満です」

一方で、「ノルマが仕事のやりがいにつながっている」と感じている人は「とてもそう思う」「ややそう思う」合わせて57.66%と半数を超えました。

ノルマは精神的な負担になってはいるものの、「ノルマを確実に毎月達成できるようになりたい」や「いつも営業成績で4位なので、もっと積極的にトークスキルを磨いていきたい」など自身の目標やキャリア形成に活用している人も多いようです。

企業側は、営業パーソンがぎりぎり到達できそうなストレッチ目標をノルマに課すことで、会社としての成長はもちろん、営業パーソンのモチベーションアップにもつながりそうですね。

ノルマが仕事のやりがいにつながる要素の一つとしてインセンティブなども挙げられます。しかし、ノルマ達成や好成績だった際に、給料やボーナス以外でインセンティブなどの制度が「ある」と答えた人は55.67%と半数にとどまりました。

また、全体の報酬に関しても「とても満足している」「満足している」と答えた人が合わせて45.34%なのに対して、「やや不満」「非常に不満」と答えた人は54.67%とやや上回る結果に。

報酬に関しては以下のような声も目立ちました。

「インセンティブがないので日々のやる気がでない
頑張っても評価されないと頑張る気もなくなってくる
「ノルマや仕事内容などの苦労の割に収入が少ないと感じる
成果が報酬に比例していないと感じる

反対にインセンティブが適切だと感じている営業パーソンからは「インセンティブで報酬が増える時に仕事のやりがいを感じます。勉強や努力が成果として見えるのが良いです」などポジティブな意見も寄せられました。

ノルマは仕事のやりがいにつながる可能性はあるものの、そこに十分なインセンティブや報酬制度がない場合はむしろ仕事のやる気を削いでしまうことにつながります。営業パーソンのやる気ややりがいのためには、適切な量のノルマと、成果に見合ったインセンティブが重要であることがわかります。

営業パーソンはどんなキャリアプランを描いている?

努力が成果として表れやすい営業職。では、そもそもそういった成果を生み出しやすい、営業パーソンに向いているのはどういった人なのでしょうか。その要素を語る上で、切っても切り離せないのが「人とのコミュニケーション」です。どのような営業スタイルであっても、顧客の課題を理解し、適切な提案をするという点は変わりません。顧客とダイレクトに関わる仕事だからこそ、人とのコミュニケーションが好きであったり得意であったりすることは重要です。

実際、今回の調査でも営業職を選んだ理由として「仕事内容」が65.67%と過半数を占め、「お客様とコミュニケーションをとることが楽しい」や「いろんな人に出会えて嬉しい」「コミュニケーションが得意なので営業という仕事自体がとても楽しい」など、営業の本質的な部分に惹かれて仕事に就いた人が多いようでした。


一方、今後も営業職を続けていきたいかという問いに対しては、「とてもそう思う」「ややそう思う」が合わせて45.34%、「あまりそう思わない」「全くそう思わない」と回答した人は54.66%と、営業職以外のキャリアを考えている人がやや上回る結果となりました。

営業職から別の職業に転職を考えている人たちの次に希望する職業は、事務職が23%で最も多く、販売(8%)や接客(7.67%)、エンジニア(8.33%)、クリエイター(9%)と多種多様な職業が並びました。自社製品やサービスへの深い知見だけではなく、人とのコミュニケーションという普遍的なスキルが得られる営業職だからこそ、より幅広く次のキャリアを考えることができるのかもしれません。


では、今後も営業職を続けていきたいと考えている人たちはどのようなキャリアプランを描いているのでしょうか? 達成したい目標や今後のキャリアプランについて聞いてみました。

「短期的には、既存顧客の深耕営業、新規開拓の達成(顧客リスト拡充、商談数の増加)を目標にして、ゆくゆくはマネジメントスキルを習得し、営業マネージャーを目指します
「営業所内で一番になりたいです。後々は独立しても生計が立てられるのが目標です
「個人だけではなく、グループで目標達成をして、営業としてのキャリアアップを図りたい
「いずれは自社で総合的な管理職になりたいと考えています。営業を経験してある程度実績を残して管理職に上がるのは、そうじゃない場合と比べて信頼感が違うと感じているので、今の経験はとても価値があると思っています」
「今までバックヤードの経験しかしてこなかったので、実際にお客様のために何ができて、何ができないのかを勉強しているところです。その中でバックヤードも営業も理解できるキャリアを考えていきたいと思っています

自社内でのキャリアアップはもちろん、その後の独立を視野に入れた計画や、自身の営業パーソンとしての理想を追い求めるなど、様々なキャリアプランについての回答が得られました。

また、スキルアップのために業務時間外で勉強をしている人は48.67%で、時間は週に計3〜4時間が42%で最多、次に週に計1〜2時間(32.19%)、週に計5〜6時間(18.49%)と並びました。コミュニケーション能力はもちろん、製品やサービス、業界への知見も求められる営業職。営業職でより高い成績やキャリアアップを考えるのであれば、資格の取得や勉強なども必要かもしれません。

顧客と一番近い距離にいる営業職

営業パーソンとしてキャリアアップを図ろうとする場合、それは顧客と信頼関係を築き、より良い提案ができるようになることが不可欠です。そして、それが実現したとき、顧客はあなたに感謝をするでしょう。営業職は、顧客と一番近い距離にいる分、感謝の声もダイレクトに届く職業です。実際今回の調査でも、仕事のやりがいを感じる瞬間として、「ノルマを達成したとき」と同じくらい「顧客に感謝されたとき」も回答が寄せられました。

「やはりお客様のありがとうという言葉と、そこについてくる信頼関係が仕事のやりがいです」
「顧客に満足していると言われた時。求めている商品を紹介してくれてありがとうと言われると達成感が得られます
「顧客のニーズを深く理解し、最適な提案を伝えることで、顧客の課題を解決できたときが嬉しい

自分がいいと思った製品を提案して、それによって顧客に感謝されたり信頼関係を築けるのは、仕事への大きなやりがいにつながるでしょう。
とはいえもちろん、仕事なのでそういった成果に応じた適切な報酬は必要です。

今回の調査結果では、営業職は顧客とのコミュニケーションや製品・サービスを通じたやり取りが大きなやりがいである一方で、高すぎるノルマや努力に見合っていない報酬は仕事のモチベーションを大きく下げるということがわかりました。営業職に関心がある人は、扱っている製品やサービスの内容はもちろん、実際のノルマやそれに応じた報酬制度などに着目して企業をみてみるといいかもしれません。

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